外反母趾から体への影響
外反母趾は母趾が小趾側に曲がって(外反)終わりという単純なものではありません。足は人間の土台・基礎となる場所なので、外反母趾など足部形体異常の影響は全身に波及してしまいます。足部(土台)の不安定は必ず上部のどこかで歪んだりズレたりしてバランスを保とうとします。
また、歪んだりズレたりしたところに歩く度の振動(衝撃やねじれ)を繰り返し受けるので徐々にその部分の炎症や痛み・変形などが起こってくるのです。このことを「前後のアンバランス」と「左右のアンバランス」に分けて説明する。
前後のアンバランス
外反母趾があると足趾を使ってうまく歩けずに、主にかかとと足趾の付け根を使って歩く2点接地での歩行になってしまいます(本来はかかと・足趾の付け根・足趾の腹を使って歩く3点接地での歩行)。そうすると重心地が本来の位置よりかかと側に片寄ってしまいます(踵重心)。
踵重心になると、その上のひざは無意識にバランスを取ろうとして過伸展する反張膝という状態になってしまい、またそれに対しその上の骨盤は前傾姿勢を取りバランスを取ろうとして出っ腹及び出っ尻状態となってしまい、またそれに対しその上の腰は過伸展して反り腰という状態でバランスを取ろうとしてしまい、またそれに対しその上の背中は丸くなってバランスを取ろうとして猫背状態となってしまい、さらに頭を前に出してバランスを取ろうと首がストレートネック(正常なS字カーブの湾曲が消失した状態)となってしまいます。
左右のアンバランス
外反母趾などの足趾の機能低下があると、歩くとき足趾全体を使って真っ直ぐ蹴り出せず無意識に足先が外方向へと流れる「ねじれ歩行」になってしまいます。そうすると力が外方向へ逃げてひざが開くカタチ(O脚傾向)となる。もしくはももを締める大腿内転筋群の強い若い女性などは足先の外方向へのねじれに対しひざを無意識に締めるカタチ(XO脚傾向)を取る。
ねじれの影響は股関節にも及び、力が外方向に逃げると股関節が外に開くカタチとなる。さらに股関節の歪みに対し骨盤も歪み、骨盤の歪みに対し背骨も歪んでしまうという負の連鎖となります。
立っている時や歩いている時の土台は足なので、不安定な2点接地(踵重心)での歩行や、足先が無意識に外方向へ流れる「ねじれ歩行」があれば土台の不安定に合わされて上部が次々と歪んだりズレたりしてバランスを取ろうとしてしまいます。歪んだりズレたりしたところに歩く度地面からの振動(衝撃やねじれ)とそこに加わる体重(重力)の負荷が加わり、痛みや変形の元になっている。
外反母趾は趾が曲がって終わりではなく、そこから2次的に起こる損傷が問題なのです。また外反母趾はむくみ・冷え・すねの張り・下半身太りなどの原因にも繋がってくるので、土台となる足・足趾をしっかり整える必要があります。